2023/08/16

日本の夏

日本の夏、特に八月は、生と死がより濃く感じられる季節だと思う。

広島、長崎の原爆投下、そして終戦記念日。
沖縄戦や東京大空襲など、八月だけに限らないけれど、
たくさんの死を感じる季節。

けれどこうした悲惨な死を感じる一方で、
それでも力強く生きる生もまた感じたり。

個人的なことで言えば、八月はわたしの生まれた月で、亡き祖母もそうだった。
そして、お盆のお墓参りに祭り、神輿、盆踊り、花火。
こうしたものからも生と死を感じるのは、神さまや亡くなった方にまつわるものだからか。

ここ何年かはもう、お盆の時期に帰省していない。お正月もそうだ。
ちょうどコロナ禍ということもあったけれど、仕事や諸々の事情などもあって、
この時期はなかなか帰れないでいる。

小さい頃は、夏のお盆の時期が好きだった。
お墓参りは、ご先祖さまをお参りするというより(お参りもするのだけど)、
お供え物のお菓子をいただくのが専らの楽しみで、子どもたちはだいたい皆、
袋片手に集落中のお墓をお参りしてまわる。
(当時うちの方ではそういう風習があったのだけど、、今はどうだろ)

そうして袋いっぱいお菓子を抱えて帰ってからは、親戚らが集まっての宴会。
今思えば、母は大変だったと思うのだけど、子どもたちは夜遅くまで遊べるし、
美味しいものが食べられるしと、はしゃいでいたと思う。
翌日の夜には村のお祭り(大演芸会)があって、その翌朝が神輿、夕方には盆踊りと、
それはそれは楽しい夏のひとときだった。

と同時に、家から神社やお墓が近かったこともあるせいか、
じめっとした生温かい空気や線香の匂い、提灯の灯りなど、
やはり死の気配、匂いなんかも混じっていて、
それは子ども心にも感じていたような気がする。

東京にいるとお盆もあまり感じないのだけど、
幼い頃の記憶と、そして今、この季節、過去の大戦に関する映像や記事に触れることで、
この暑さや異常気象とはまた別の、日本の夏を感じている。



Yokosuka Kanagawa Japan 2023

natsukinoki

2023/08/10

ラジオから膨らむ繋がる話ー桐島かれんさんから再び上田義彦さんへー

前回の「ラジオから膨らむ繋がる話ー上田義彦さんから桐島かれんさんー」の続きです。

あるラジオ番組のゲストで出演されていた写真家の上田義彦さん(以下、上田さん)。
リスナーから奥さまの桐島かれんさん(以下、桐島さん)のことを聞かれ、
わたしの興味は上田さんから桐島さんへと繋がり、、、

というところまでが、前回のお話でした。(ざっくり)

図書館で桐島さんの本(写真は夫の上田さん、というなんとも贅沢な本)を借りてきたわたしは、
憧れの「Love of Life」(←本のタイトル、Gakken)を読みふけりました。
(そして、あとからもう1冊、アノニマスタジオから出ている「ホーム スイート ホーム」という本も。
こちらもおすすめ。)

ラジオでも上田さんが話されていましたが、桐島さん夫妻は東京の自宅以外に、
葉山(海)と八ヶ岳(山)にも家があるようで(なんとまあ、うらやま~なお話ですが)、
そこでの暮らしぶりについても、上田さんのすてきな写真とともに綴られていました。

そして、はたと気が付いたんです。
あれ、これは、なーんか、なーんか、なんだっけ?
と、はっきりは思い出せなかったのですが、引っかかるものがあって、
本を読みながら考えていたのです。

しばらくして、もしかしてこれは、、
と、寝室に置いてある1冊の雑誌を見てみると、やっぱり!
去年のBRUTUS Casa 8月号「Summer House 山の家、海の家」
表紙を飾っていたのが、上田さんの写真(八ヶ岳の家)だったんです。

そうですそうです、ばっちり特集も組まれていました。
若い頃に土地を買ってつくったという八ヶ岳の家や、海が見える葉山の古民家の写真に、
あーいいなーすてきだなーと思って見ていましたが、
上田さんについてや、はたまた奥さまの桐島さんのところまでは辿り着かず。

でもこうやって偶然にも1年後、また再会?巡り会えるなんて、、嬉しい。
(しかも上田さんから奥さまの桐島さんを経て、また上田さんと、戻ってきたこの悦び)

だからなんだと言われれば、それまでなんですが、、笑
そういうこと、ありませんかねー。
その時はよく理解できなかったり、なんとなく過ぎ去っていたものが、
カムバックする瞬間。そして、繋がる瞬間。

自分とは直接関係のないことでも、また違う世界が少し広がったような、
見方が変わったような、そんな気がして。
ひとり悦に入ったひとときでした。



CASA BRUTUS No. 268
山の家、海の家