2020/02/15

自動販売機のおしるこ缶

なんとなく、帰りたくなかった。
土曜日、夕暮れ、買い物帰り、冬のとある日。
別に特段の理由がある訳でもなく、文字通り、なんとなく。
家には可愛い幼子もいるし、愛すべき旦那もいる。なのに、なぜ、か、足取りが重たい。
たぶん、疲れていたんだと思う。
マンションの前まで来て、やっぱりダメだと思い、もう一度来た道を戻る。あてがある訳でもなく、夕飯の材料を買った袋が重たい。これからまた駅前に戻るのも億劫だし、時間もあまりない。どうしようかとふらふらと歩いていて、ふと思いついた。
そうだ、おしるこ缶を飲もう。いつも子どもと散歩するときにある自動販売機の。子どもは自動販売機のおつりのところをいじるのが好きで、いつもそこで立ち止まる。
買ったおしるこ缶を、近くのコンビニ脇にあるスペースで飲んだ。美味しかった。
帰り道はさっきよりも少しだけ、足取りが軽くなった。

natsukinoki

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