2012/01/11

自分の感受性くらい



ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

茨木 のり子


甘ったれた自分に活を入れる詩。
最後の「ばかものよ」が清々しい。
どんな時も忘れずにいたいものです。


余談ですが、
さっき鍋焼きうどんのアルミ鍋で親指を火傷しました。


自分の指くらい
自分で守れ
ばかものよ




natsukinoki

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