2017/05/30

もうこれで充分!

… 一緒に入ってた写真すごい良かった。

って、言葉少なく、弟からメールがきた。
贈り物と一緒に、この前行った家族旅行の写真と、
あと、亡くなった猫の写真を、現像して一緒に送ったのだ。

たった1行のメールだったけど、普段あんまりお互いを誉め合ったりしないし、
そもそも言葉数少なめな弟だから、だからかな。
その言葉にすごく気持ちがこもっているような気がして、すごくすごく嬉しかった。

で、なんか、もう、これで充分じゃないか!って思った。
自分が撮った写真で喜んでくれる人がいる、大事にしてくれる人がいる。
小さな世界のなかだけど、ああ、もうこれで充分じゃないか!って。

けどなあ、
欲深いわたしは、まだまだ欲を出すんだろうなあ。
ほんと愚か者だなあ。


 natsukinoki


2017/05/27

PICASSO AND CHAGALL

たしか中学生のとき。もしかしたら高校生のときかもしれない。
初めて一人で美術館へ行った。

美術館までは、バスと電車を乗り継いで、1時間以上。
どきどきしながら向かったと思うんだけど、その時の心境はあんまり覚えていない。

見た絵は、シャガールだった。
あの独特な青色と、あの目と、馬と、印象的だったのは覚えている。

それからか、その前からかもしれないけど、シャガールの絵は好き。

物語のような絵が好き。
物語のような歌が好き。
物語のような時間が好き。




 @ HAKONE POLA MUSEM OF ART


そして、箱根ロマンスカーが好き。


natsukinoki


2017/05/26

麦茶の味

夏は麦茶ばかり飲んでいた。実家にいた頃。
何よりよく動いていた。
小学生の頃は、朝のラジオ体操に始まり、午後のプール。中学生になってからは、部活動のソフトテニス。高校は硬式テニス。決して運動が得意な方でなかったけど、ほんとーうによく動いていた。ただでさえ色黒なのに、さらに真っ黒黒だった。

これだけ動いているのだから、当然喉も渇く。麦茶ばかり飲んでた。麦茶が格別に美味しいと思ったこともなかったし、すごく好きな飲み物でもなかったけど、嫌いでもなかった。というか普通?好きとか嫌いとか思う隙もないくらい、普通の、当たり前な飲み物だった。
それに、うちには飲み物の選択肢があまりなかった。子どもが飲める冷たい飲み物は、麦茶か牛乳くらい。ジュースは普段あまり置いてなかった。

家族が多かったから、麦茶を作るのはとっても大きなやかん。やかんいっぱいにお湯を沸かして、麦茶のパックを入れて、沸々と煮だしていた、気がする。詳しくは知らない。お母さんやおばあちゃんは、1日に何度作っていたんだろう。夏の台所はいつも、麦茶を煮だしているときの、あの香ばしい匂いがしていた。

プールから帰ってきた後、部活動から帰ってきた後、疲れて昼寝して、起きて、おばあちゃんが「目覚ましになんかやろか」って声をかけてくれる。スイカだったり、メロンだったり、おばあちゃんがよく剥いてくれた。って言っても、メロンはマスクメロンのような高級メロンではなくて、家の畑でできるメロンで、スイカもそう。たくさん採れた。で、やっぱりその時も一緒に麦茶。

目覚ましに麦茶。お風呂上りに麦茶。ご飯と麦茶。当たり前だった。夏に麦茶は当たり前だった。あって当たり前だった。
昼寝から目覚めると、おばあちゃんが「なんかやろか」って言って、スイカとかメロンとかと一緒に麦茶を用意してくれるのも当たり前だった。特別美味しいとも、特別有り難いとも思わなかった気がする。

でも、今日、さっき。自分で沸々と煮だした麦茶を飲んで、はっとした。おっ、美味しい、そして懐かしい…。なんで今?かはよく分からないけど、今までの記憶が、味が、わたしの口のなかに降りてきた。


もう麦茶はあって当たり前じゃなくて、自分でやかんにお湯を沸かして、パックを入れて、煮だして、そうやって作らないとない。できない。
昼寝して起きても、「なんかやろか」って言ってくれるおばあちゃんはいない。自分で用意しないと出てこない。

だけど、麦茶を飲むと、今まで過ごしてきたあの時間が、あの想い出が、一緒に味わえる。
ああ、麦茶って美味しい。しみじみそう思った。

今年の夏も麦茶を作ろう。
やかんにお湯を沸かして、麦茶のパック入れて、煮だして、冷まして、麦茶を作ろう。




natsukinoki

2017/05/04

漢方とドイツと彼女と写真

漢方を飲むと、ドイツに行ったときを思い出す。
初めての海外一人旅で、体調面精神面両方の不安が大きかったから、お守りのようにして漢方を持っていった。そして、毎朝、毎昼、毎夕、飲んだ。

ドイツでの想い出の味は、ビールやソーセージなんかに混じって、漢方も入っている。

* * *

ドイツでは、ウィークリーマンションやホテルを転々として、そして最後に、日本で知り合ったドイツ人女性の家へお邪魔した。
彼女は、たった一度しか会ったことのない、しかもドイツ語はもちろん、英語さえままならない、よくわからない日本人の私を、4日間も泊めてくれた。パートナーのフランス人男性も、よく耐えてくれたと思う。ほんとに。図々しくてすみません。

彼女たちはわたしに、友人や家族を紹介してくれたり、手料理をふるまってくれたり、街を案内してくれたり、ドライブに連れていってくれたり…ほんとに良くしてくれた。図体は大きいのに(ついでに態度も)、言葉はよく通じない子どものようなわたしにも、最後まであたたかく接してくれた。

* * *

そんな女神のような彼女と彼女の友人がわたしの写真を買ってくれました。
彼女の友人がわたしのポストカードを見て気に入ってくれたみたい。
わたしの写真を気に入ってくれて、欲しいと思ってくれて、飾ってくれて、生活の一部にしてくれて。こんなにも嬉しいことはありません。しかも、それが日本を飛び出して海外にもあるっていうのは、大袈裟な書き方かもしれないけど、やっぱり嬉しい。




ありがとう、エレナ。
彼女のことを紹介してくれた方にも感謝。

人付き合いって、ほんと面倒だなーって思う一方、それでも、嬉しいこともまた人からもらったりもするもので。
やっぱり人間なんですね。

natsukinoki